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空の名前/高橋健司

空の名前/高橋健司_c0062603_6244460.jpg「ああ、日本語ってこんなにも美しかったんだ」と、表意文字の奥行きの深さ、叙情性の高さを再認識させてくれる1冊。
これも1991年の発行で、書店で平積みになっていた記憶があるし、新聞でも何度か取り上げられていたので、当時はかなり売れたのではないかと思う。
作者の高橋健司は、発行当時は日本気象協会勤務だったそうで、いわゆる「空の専門家」。
本人によるさまざまな空の撮影写真と、それにまつわる日本語を紹介した歳時記風天気図鑑である。
写真の美しさもさることながら、それぞれの写真に付記された日本語にうっとりしてしまう。
たとえば雲の様子(出現状況)から、「雲の湊」「雲の澪」「雲の通い路」「徒雲」「はぐれ雲」「浮雲」など、言葉を目にするだけで、その雲の表情が思い浮かんでくる。
雷も古くは神の仕業と考えられていたため「神鳴」と表されていたそうだ。
ちょうどこの本を読んでいた時分に、大きな雷鳴が轟き、空にわかに掻き曇り、稲妻が駆け巡った。
ポーチに出て夫や近所の人たちとその様子を眺めながら、「子どものころには雷様が太鼓を鳴らして臍を取りにくると言われた」と話したところ、「それはおもしろい!アメリカでは神様がボウリングをしている音だと言うんだよ」とのこと。
なるほどゴロゴロ、ドッカーンはそう聞こえなくもなかった。

空の名前/高橋健司(光琳社出版)
by lanova | 2007-09-03 16:28 | Book